クライアントの皆さま、Human Capital Consulting のLee です。
持続的成長を望むトップ・マネジメントは、短期と中長期の業績を左右するハイパフォーマー・ジェネレーター(HPG)とその候補者たちを再発見する困難な作業から開始しなければならない。次に、彼らに直接働きかける「自覚化」と組織システムの整備「仕組化」を積極的に促進する必要がある。非常に時間のかかるプロセスのように見えるが、実は、HPGの発見とHPGの「自覚化」を同時に促す妙案があるのである。
トップ・マネジメントにとって、HPGの発見は極めて難しい。
短期的な高業績を残すハイパフォーマー(HP)に目を奪われやすいためだけではなく、HPGが複雑な組織階層の中に埋め込まれていて見えにくくなっているためである。その上、HPGたちの多くは、他者に対しても自己に対しても高い目標と厳しい評価目線を持っているため、自らが有能なHPGであるという自覚に乏しい場合が多いからだ。
発見のための簡便法として、マルチ・ソース・フィードバック(多面評価)のアップワード・フィードバック、つまり「下からの評価」の活用、下位者が思うHPGを探索する方法がある。しかし、この手法だけでは下位者に対し非常に高いハードル(目標)が設定されている場合などはHPGへの評価が低くなる傾向があり機能しないリスクが高い。人財開発サポート情報システムを導入している先進企業においては、過去の下位者たちの成長度合いとHPGとの相関関係を分析し、これと組み合わせるという手法も考えられるが、そのようなデータベースを持ち合わせている企業の数は少ないのが現状である。
そこで、我々がよく推奨するのは、ミドル・マネジャ層に幅広く網をかけたトレーニングを施し、このトレーニング・プロセスを通じてHPGを焙り出す方法論である。「リーダーシップ源泉強化アクション・ラーニング・トレーニング」を広範囲のミドル・マネジャ層に実施すると、半年を待たずに、HPGが焙り出されてくるのである。
このトレーニングでは、リーダーシップの源泉を強化するためのプロラムが用意されている。自分のリーダーシップ源泉を振り返り、その妥当性を検証した上で、現場でのアクションプランを実行していくプロセスを実地にサポートする。形式としては、集合研修とグループ・個別フォローアップ研修の組み合わせを行うこととなる。(プログラム内容の詳細は別の機会に紹介したい)
自らがHPGであれば、このプロセスは極めて順調に短期間でワン・サイクルを終了する。なぜなら、多くの場合、彼らHPGが無意識のうちに既に行っている行動様式だからである。結果として、HPGが焙り出されてくるのである。
加えて、副次的効果も期待できる。
HPG候補でないミドル層にも若干の行動変革が見られることもあるが、それ以上に、トップの考えるHPG像を共有することで、HPGへのレコグニッション(認知と評価)を高め、組織文化の改善やあるべきバリュー(価値観)の浸透につながる効果が望める。
さらには、このプログラムの実施によってHPGの「自覚化」を促し、HPGのパフォーマンスの効率性を高める効果も期待できるという意味では、まさに「一石三鳥」の妙案ということになるのである。
李哲海
Chulhae.Lee@hc-consulting.jp
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